こだわりの書番外編;「地獄少女」x「涼宮ハルヒの憂鬱」本の表紙・・
同人誌「地獄少女と憂鬱少女」は、コミックマーケット70にて頒布いたしました。
完売絶版となっております。m(_ _)m
掲載されておりました漫画(地獄少女xハルヒ)につきましては、「あによろかん1」に収録されています。
二〇〇五年十月から、半年間放映されたアニメ「地獄少女」。 復讐・愛憎・人の業の深さ、罪深さ…をメインテーマとして、かつ、
和のテイストを盛り込んで美しく映像化したということ・・・更には、能登麻美子演ずる閻魔あいや、わら人形三人集・柴田親子‥
その他の個性的なキャラクター達が話題となり・・それらの結果、高い評価を得るTVアニメーション作品として仕上がるに至った。
今回は、全二十六話の中でも、お気に入りの話数をピックアップして、あれこれ述べてみたいと思う。
※内容に関しては、放映当時の日記帳(blog)の記事に、 加筆・修正を加えたものもかなり含まれる(汗)。
二〇〇五年十月四日の日記を若干改変
ついに今晩‥しかも午前0時に、キッズステーションで、注目作品「地獄少女」第1話が観られる。
閻魔あいの等身大人形が用意された制作発表の記者会見場の様子など伝え聞くと、かなりの自信作のようだが、
あまり期待し過ぎるのも・・どうかと思うので、まあ そこそこ、心とDVDレコーダーの準備をして鑑賞 しようかなぁ。
それにしても早く、能登麻美子嬢の
「イッペン、死ンデミル?」と、
室井滋さんの、独特の語り口のナレーションが聞いてみたい。
第一話「夕闇の彼方より」
脚本;鈴木雅司 演出;則座誠 絵コンテは、監督の大森貴弘さん 作画監督は、キャラクターデザインの岡真里子さん
いきなり、冒頭(アバンタイトル)は、室井滋さんのナレーション入りで、必殺仕●人風の演出。で、いわゆるOPはなくって、
ドラマの冒頭の何カットかに、スタッフのクレジットをかぶせる手法。たまに、他のアニメでも最終話とか特別の話数には、
こうした演出が用いられるのだが・・。
第1話ということで,作画のクオリティはすこぶる 高く流石に頑張っている。とりわけ,ヒロイン閻魔あいの描き方には、
マジに力入ってたなぁ・・髪や瞳の描き込み・処理にもかなり凝ってたし。 真由美から亜矢への復讐を依頼されて、
仕事に出かけるのだが、家の裏の小川で沐浴し身を清め、古ぼけた 小屋(失礼)もとい家の中で、花柄の振り袖(裁きの着物)に着替える閻魔あい。
このシーンがなんともテンポが良くって美しく描かれている。和風の妖艶な感じも漂わせている。
妖力でセーラー服から着物に変身する訳でもないのが、リアルだなあ(喜)。
綺麗な花柄模様の着物で演技させるのって・・旧来のセル画を用いたアニメだとかなり難しい技術。CGで模様を入れることで
何とか克服しているようだが、一部、体(着物)の動きにあわせて模様が移動していないカットがあったのが少し残念かも・・
技術的な問題で仕方ないか。
そしてついに、クラスメイトを自殺寸前まで追いつめた性悪な亜矢に、正義の鉄槌が下される・・ではなくって、あいとその仲間達による
復讐のドラマが繰り広げられる。幻惑と幻影の世界で逃げまどう亜矢。 お嬢(地獄少女あいの仲間が彼女をそう読んでいて・・
「ごくせん」を思い出した)の口から、ついにあの言葉が・・(わくわく)。
「イッペン、死ンデミル?」
お嬢の必殺技「地獄流し」炸裂。手こぎの渡し船で 地獄への道行き。 地獄の入り口の描写にも、背景・フィルターなどのエフェクトの
かけ方など‥かなりの凝りようが見て取れた。あの鳥居の向こうが地獄なのか。哀れなるかな亜矢。しかし、中学生の身で地獄へ流されるとは・・
あまりの仕打ちにも思えたような・・(汗)。
小生が鈍感なせいか、全編通じて、あんまり不気味とか恐ろしいとかは感じなかった・・画面があまりに綺麗だったせいもあるのだが。
一部、恐怖の表情が楳●かずお調でギャグっぽく見えたカットとかもあったし…。まあ,いずれにしてもこれからの展開次第。
次回が楽しみな作品であることには違いない。
余談だが、ゲストキャラの声が「マリみて」の福沢祐巳こと植田佳奈さんで、髪型もツインテール…。で、 閻魔あいの声が能登麻美子さん。
「マリみて」ファンの小生的には、志摩子と祐巳が揃ってたのには思わずニヤリ… アニメ制作もディーンだし(笑)。
第二話「魅入られた少女」
うひゃ~、このOP凄い出来映えだ!カットつなぎも良く考えてあるし (特に、さくらんぼ→ビー玉)、 エフェクトの入れ方も尋常じゃ無いレベル。
なにより、作画しているスタッフが一流のアニメーター諸氏ではないか…。門之園さんや、松島晃さんまで…。SNoWの「逆さまの蝶」も心地よい
テンポの曲でかなり気に入ったし。 もしや、凝りに凝りすぎて、OP制作が第一話に間に合わなかったとか・・?(かつて、そういう作品があったような…)
ストーカーを題材としている回。犯人が、ストーカーを捜査していた刑事だったという皮肉な顛末。窮地に追いつめられた涼子は、
地獄少女に復讐を依頼。病院までやって来た如月刑事にお仕置きを加える・・あい達。こんな輩は地獄に流してしまえ・・。
復讐劇がやたら痛快に感じられた・・。
懸命にアニメを制作しているスタッフに怒られそうだが、この回の最重要ポイント(?)は、涼子役が麗しのCVである清水愛様である
ことだったりする小生(汗)。 「舞-HiME」の命、「絶対少年」の潮音‥超お気に入りキャラなり。
第三話「汚れたマウンド」
第三話は、原案のわたなべひろし氏の「人殺し~」という声が聞けるという事前情報もあって、午前0時~ キッズ・ステーションで
リアルタイムで鑑賞。高校球界の鼻持ちならない大スター花笠。ナルシスト、エゴイスト・・なんかでも、こういった性格の選手って
実際いそうだし。今回も復讐劇が痛快に感じられたなぁ。他人の不幸をやたら喜んでいるようで・・、心が病んでいるのかなぁ・・小生は・・(汗)。
総作監(相澤昌弘氏)はいらっしゃるのだが、作監に よって微妙に閻魔あいの目の辺りの描き方が異なっているのが面白いかも
(妙な楽しみ方で失礼)。
第四話「聞こえぬ叫び声」
脚本:福嶋幸典 絵コンテ:森下昇吾 演出:千葉大輔 作画監督:小谷杏子
第四話は、今まで観た中で,動画も含めて‥一番作画が安定しているように思えた (もちろん私見だが…)。レイアウトやカメラワークにも、
かなりこだわっているのが見て取れて嬉しかった。閻魔あいが、ベッドにしばりつけられている本篠の顔を真上からのぞき込むカットなんて・・
まさに鳥肌モノだった。このクオリティで毎回制作していただければ、DVD発売の暁には,予約購入することになるだろう・・
初回特典アレコレとか付きそうだし。
最愛のキャンディを奪われた菅野純子役の新井里美さんの悲しみ・怒り・苦しみ…を表現する声の演技も光っていた。
動物の命を金儲けの道具としてしかとらえていない冷酷な獣医師を,子安さんが演じていたのも興味深かったし。
第五話「高い塔の女」
高い塔・・って、最初サブタイトルを聞いた時には、某結城さんの同人誌を思い出したのだが、いわゆる六本木ヒルズとかのことだったのね。
ベンチャー企業のカリスマ社長が、実はパソコン・ オンチの部類だったとは・・。で、パソコン・オタクの不幸な少女を抱き込んであれこれ悪事を‥。
しかし、 探ろうとした美沙里を逆ハッキングするとか・・あの 地獄通信のサイトの管理・プログラミングって誰がやっているのだろう‥一目連なのか??
現場のスケジュールの厳しさを現してているような 仕上がりに思えたような気もする回。話の展開自体は、現代の仕事人っぽくて面白かったが…。
第六話「昼下がりの窓」
ホントに良かった~。私見ではあるが、もしかしたら、今まででベストクラスの出来映えかも。 若い男と浮気を続ける‥凄まじく性悪・淫乱な
支店長夫人に、復讐依頼を受けた閻魔あい達が天誅を下す‥一種痛快にも感じられたストーリー。
作画のクオリティも高く、とりわけ閻魔あい(動作、顔、瞳)がきちんと描けていて嬉しかったー。あいの 濡れた肌襦袢とか、一目連の裸とか‥
サービスカット(?)もあったようだし。一目連の女性ファンは喜んでいたようだが、お陰で地上波での放映が深夜に??
作監は、森本浩文氏で、かつての「マリア様がみてる」では、「月とロザリオ」「白き花びら」「チェリーブロッサム」「レイニーブルー」…
お気に入りの話数を担当されている方である。作画もよかったのだが、演出的にも、観るべきレイアウトなどが多々あったように感じられ、
よく練られた絵コンテ(絵コンテ;小島正士)のように思われた。
かなり厳しいというスケジュールの中、よくぞここまで仕上げてあるなぁ・・と感動してしまった次第・・。
第七話「ひびわれた仮面」
言わずと知れた「ガ●スの仮面」のパロのような回。美●先生の原作漫画をしっかり読んでいる小生にとっては、ホントに愉快に
観ることができた。紅梅ならぬ、 しだれ柳…。
この回で、ピカイチお気に入りのシーンと言えば、 あいちゃんが変装(?)して、情報を得るため、紅演劇研究所へ潜入するシーン。
なんかとっても可愛かったな~。猿飛佐助ばりの体術も観れたし。 養母である翠を地獄流ししようとするが、ここでどんでん返し・・自らが地獄へ。
因果応報。舞台の床下からせり上がってくる着物姿のあい‥心憎い演出だ。ただ、元の絵コンテ上は、床下から…という指定は
されていないので、これは後から変更されたシーンのようである。
第八話「静寂の交わり」
今後のドラマの展開に深く関わってきそうな柴田一、つぐみ親子初登場の回。あいとつぐみ・・どういう関係があるのか?・・興味津々なりね。
あいちゃんは「なんだか、懐かしい感じがするとかなんとか・・」言ってたような。お婆ちゃんは否定していたが、あいが懐かしいって、
前世・地獄絡み‥の関係ってことか。いずれにしても、水樹奈々様演ずる‥柴田 つぐみちゃんも可愛いなぁ~・・なんのこっちゃ(汗)。
親友を昏睡状態にされてしまった千恵。密かに愛していた‥ちょっとイケメンのファーストフード店長吾郎を、ついには地獄に送って‥と
依頼してしまう。可愛さ 余って憎さ百倍・・言葉の使い方違うか‥(汗)。裕子を突き落とした吾郎は、裕子に化身した骨女によって突き落とされる。
因果応報。ここで、奈落の底へ落下しながら、あの地獄少女の決めゼリフ(口上)。おおっと、思わず、エキサイトしながら観てたなぁ。
第九話「甘い罠」
このケーキ屋さんの話って、連載中の「なかよしラブリー」でも読んだ。話の細部は違うのだが、独立を妨害するパティシエを地獄へ
送る展開は同じであった。森崎が姉の弘美を一方的に好きになって、求愛を拒んだからその意趣返しに…という設定はマンガには
無かったと 思うが。 こういう悪党のおっちゃんを地獄流しにする話は、 なんだかすっきり爽快に観れたりするなぁ。
折り鶴をふくらませようと、息を吹き込むあい。なんかレトロな雰囲気で良さげだ。彼女って、人の年齢でいえば何歳なのだろう?
いつか明らかになるのだろうか。
第十話「トモダチ」
友達って何だろうと考えさせられる回であった。珍しくハッピーエンドになるかと思いきや・・結局、詩織を地獄流しにしてしまう。
「お嬢って、ハッピーエンドが嫌いなのかねぇ」と骨女が言っていたが・・さて・・あいの真意は?。
第十一話「ちぎれた糸」
政界の暗部をスクープされ、父は逮捕。息子は路頭に迷う。ジャーナリズム、マスコミの悪い体質・一面をも問いかけるような回。
スキャンダルのでっち上げも平気でやってしまう編集長の稲垣。柴田とも仕事上の付き合いがあった彼。ついには、地獄送りとなってしまう。
しかし、柴田一は、あい達の行いを「間違っている…」とか言っていたが、その前に自らの行い(ゆすり・たかりまがいの行動)を
悔い改める必要があるのではないだろうか。けなげに頑張っている可愛いつぐみちゃんも いることだし・・。
第十二話「零れたカケラ達」
毎回、ゲストキャラの声優陣がけっこう豪華なのも話題の一つとなっている作品だが、依頼者;沢井茜のCVは、とりわけ御贔屓キャラの
九条ひかり・水銀燈様役の田中理恵さん。それだけでポイントが俄然高いのだ(喜)。
朽ちかけた人形、廃墟となった建物の庭に、いきなり契約の証である地獄紋を胸に刻まれた茜がたたずむ。いつもと異なる始まり、
ストーリー展開にドキドキしながら見入ってしまっていた・・。
映像表現を文章で伝えるのは難しいのだが・・、随所に印象的なレイアウトが挿入されていたり、微妙なパースの付け方も上手かった回。
絵コンテは、後藤圭二氏で、作監は森本浩文氏と他3名であった。
鬱々とした世の中、荒れた学校。心を病んで休職に追い込まれる教師が増加しているとは聞くが、自ら地獄行きを望まれては・・
地獄少女も形無しというか、あいちゃんも何か感じる…、心に引っかかるモノがあったようだ。「その先まで考える必要はないよ・・。」
みたいなことを言って、お婆ちゃんが、あいのことを気にかけていたなぁ。
悪人が登場してきて、一種勧善懲悪的で‥テンポの良いドラマ展開の必殺仕事人的な話が基本的には好きなのだが、
一目連、骨女達が活躍しない‥こうした変化球みたいな話も、これはこれで観ていて面白いと感じた。
第十三話「煉獄少女」
1クール終了ということで、意味深なタイトルと内容。「人を呪わば穴二つ。」復讐依頼者が、死んだら地獄に流されることを明示した回でもある。
作画・美術も良さげだった。印象的なあいの絵もあったし。
小説「煉獄少女」の作者福元によると、地獄少女・閻魔あいが、安土・桃山時代から存在していた(らしい)という情報があった。
ということは、判りやすく(?)言えば、「犬夜叉」の時代からいたというか・・、戦国時代に誕生していた可能性があるということなのか。
庄屋のお嬢さまか、お城のお姫様か…非業の死を遂げた娘が、ある使命を帯びて地獄少女として生まれ変わったとか・・。
こりゃ、小生の単なる妄想なり(汗)。 いずれ地獄少女誕生秘話・・とかありそうだなぁ。
第十四話「袋小路の向こう」
「(依頼者は)哀しい目をしてた・・」またもや悩めるあいの姿が・・。もしもできることなら、復讐をとどまらせたい‥みたいな気持ちが
少なからずあるのか…、つぐみを介して事件のあらましを柴田一に伝える。でも、柴田の奮闘むなしく、結局、悪事に手を染めていたの
かもしれない父ではあったが、掛け替えのない肉親を殺された恨みの念が勝り・・、 わら人形のヒモを解いてしまった桐野沙樹。
「でも悪い人なんでしょ」無邪気にニュースを見て反応するつぐみ。柴田の努力が報われる時が来るのだろうか。
人の心の内には「善」と「悪」の両面が存在することをも訴えかけてきた回ではあったが・・、閻魔あいの 決めゼリフ(口上)が聞けないのは、
ちょっと寂しいなぁ。
「地獄少女」総集編
放映話数が先行しすぎていたキッズ・ステーションでのみ放映された総集編。のちに、DVD第4巻に収録。
地獄流しの連発など、第一~九話を上手に編集してあって面白かった~。自分の薄れつつある記憶を、再度呼び起こす意味でもよかった。
この作品は、やはりいろんな意味で、評価に値する アニメだなぁ…と、再認識させられた次第。
第十六話「旅芸人の夜」
前回、美味しそうな‥さるパフェが話題となった(?)「島の女」に続いて、いわゆる旅シリーズの中の1話。 地方を巡っている‥
今となっては懐かしいようなサーカス団(ハッピー・サーカス)内における、双子の姉妹 (ユミ、ユキ)と父(団長)との、かなり恐ろしげな
愛憎劇だった。小規模のサーカス団という、かなり特殊な環境の中でのドラマ。なにせ瓜二つの双子‥ターゲットと依頼者との関係・
復讐に至る経緯が掴みにくく、展開に若干ついて行けない感もあったような…(二回目視聴時には、細部まで はっきり理解できたのだが‥)。
双子のトリックを見破るまでは良かったが、ターゲットを見誤って、はじめちゃんも翻弄されてたし。
とはいえ、改めて観てみても、総じて作画は(私見だが)トップクラスに良かったなぁ。とりわけ、つぐみちゃん、あいのUPの絵などは、
絶品に見て取れた。
つぐみのリクエストに応えて…無理矢理狭い木箱に入る芸をする骨女(結局出れなくなる…)や、夫婦喧嘩の 絶えない‥でも結局
愛し合ってる(離れられない)団員とか・・、それなりにギャグっぽいシーン・人間模様も 挿入されてたりして・・面白かったなぁ。
精神崩壊寸前の依頼者を気づかっている(ようにみえた)あいちゃん とかも見れたし。 そういえば、潜入していた一目連はモックとか
呼ばれてたようで…やたらともててたような・・(羨ましい)。
第十七話「硝子の風景」
シリーズ構成の金巻兼一さんの脚本。今となっては廃墟と化してしまった‥とあるサナトリウムを舞台に展開される‥ホラー・ドラマ。
ストーリー、作画、演出的に見所があまりに多くて、つい3回も繰り返し観てしまったー。最もお気に入りのエピソードだったりする。
サナトリウムって、高原・林間・海辺など空気の良い場所に建てられた(長期の)入院療養施設。昔は、主に結核療養所として
多くの場所に存在していた。結核って、今でも怖い病気に変わりは無いのだが・・、ストレプトマイシン・イソニアジド・リファンピシン等を
患者に 充分投与できるようになる前は、一度発症すると正に 致命的な病であった。そういえば、大河ドラマ新撰組でも、
沖田が派手に喀血して…絶命してたなぁ。
不幸にも幼くして結核に罹患してしまったニナちゃんは、この世への未練、孤独感、絶望感、療養所に押し込めた父への強い恨みの念を
残したまま他界。その念・魂を受け継いで、ニナが愛していたドール(以後、ドール・ニナ)が地獄通信へアクセスしたのだろうか。
その魂の依頼を受けて、閻魔あい達が動いた。その哀しみに満ちた浮かばれぬ魂を救ってあげたいと思ったのかどうかは定かではないが
(あいちゃんの真意は一筋縄では読み取れない‥そこがまたドラマに深みを持たせているかも…)、柴田親子の協力(?)もあって、
最期には主ニナの死を認識して、灰燼に帰すドール。つぐみの涙。 ほんま、え~話や。
絵コンテは、名村英敏氏。ロングショットとUP、俯瞰の効果的な使い分け、緩急の切り替え、緊張感のあるカットでのレイアウトの妙・
画面分割・パースの入れ方、画面に奥行きを持たせるBOOKの配置・・とか、只者ではないなぁ。また、床に転がるドールの眼球→ 夕陽とか、
あいの瞳から車のヘッドライトなど、カットつなぎが見事だったりする。
作監は、かの森本浩文氏。作画的には、とりわけドール・ニナの表情の描き方がマジで凄かった~。あの不気味な微笑みを観るだけでも
鑑賞する甲斐のある回だったといえよう。ドール・ニナは今回だけの登場ではもったいないキャラだなぁ。
自宅の縁側で、一仕事を終えて、なんだか安堵にも似た表情(なのかな‥)を浮かべるあいであったが・・さて、
今後の展開がますます気になるところである。
第十八話「縛られた少女」
あまりにも非道な芽衣子(ターゲット)の振る舞いに、怒り心頭に発する思い…。お金・財産に異常に執着する芽衣子に、愛犬を楯に
脅迫される善良なる依頼者・美紀。結局のところ、ターゲットは凶悪・残忍な殺人者だったのであるが、こうした輩は地獄に送っても余りある・・なぁ。
依頼者が糸をほどかぬ限り、あい達が復讐を行えない決まりが、あまりにももどかしく感じられた回。
つぐみちゃんが、地獄少女の行いを是(必要悪)と捉え始めたことが、今後の展開にどう関わってくるのか興味深い。
第十九話「花嫁人形」
生きるも地獄、死ぬも地獄みたいな‥全く救いがないような不条理な話ではあったが、氏家祈里の作画が良かったので、
とりあえず満足。しかし、孤児院といえば、未だにちびっこハウスを連想してしまう小生(汗)。
第二十一話「優しい隣人」
またもや復讐の是非を視聴者に問いかけるような理不尽(大王)な展開の話。
「優しい声をかけて近寄ってくる人には気をつけなさい…」という教訓めいた話でもないのだろうが・・、 まんまと騙された人の良い父は
アルコール多飲(依存症?)で急死。悪魔のような隣人への復讐を誓う娘・ 優子は地獄通信にアクセス。だが、糸をほどく寸前…、
柴田一により説得され・・ていうか、藁人形を奪うという暴挙(反則技)に打って出る・・(マジか…)。
復讐を止めたことに納得のいかないつぐみ。ついに、反抗的な態度を父・一に示す・・。ここで、父からぶたれるかと思って、一瞬、
身をすくめるつぐみちゃん・・ここらの演技が、小生的今回のツボ。
結局、復讐は成し遂げられなかったのだが、傷心の優子。身寄りがない為か、新たに預けられた施設にはパソコンが。
「後は、貴女が決めることよ…。」(byあい)・・彼女は、再度復讐を依頼するのであろうか・・? 含みを残しつつ終了。
いよいよ次回は、つぐみの母の死の真相が明らかになるのかなぁ・・。復讐は、ホントに悪いことなのか・・、あい達の
やっていることは絶対にいけないことなのか・・。回答は、視聴者の個々人の心の中にありそうなのだが…。さて。
第二十二話「悔恨の雨」
いよいよ最終章への突入を示唆するような意味深な映像が冒頭に挿入されている。「少年;仙太郎」「六道郷」とか。
ご機嫌斜めのあいが、障子に指で穴をぷすぷす開けているし(ストレス解消?)・・。なんか面白いシーンだったが、いったい誰が
あの破れた障子を張り替えるのだろうか…(汗)。
今回は復讐劇よりも、つぐみの母の死の真相の方が 主だったような…。まさか、つぐみの母が家庭を顧みない夫に対する
不満・ストレスからか・・不倫にはしるとは・・。しかも、事故死してるし。あまりに悲惨。不倫がもしも誤解だったとしたら、更に悲劇・・。
次回は、けっこうよく知ってる(?)業界の話のようだ。 ナースが、いかにして復讐のターゲットと成りうるのか…。実際、
ちょっとした行き違い・ボタンの掛け違いから、口論・紛争になるケースもあるには違いないのだが、地獄に送りたいとは物騒な話。
些細なことだが、前回(第二十一話)から、原案のわたなべひろし氏の名前が、わたなべ(地獄紋)ひろしに変更されている。
第二十話で、エスパーわたなべ こと わたなべひろし氏が藁人形の紐をほどいて、地獄少年を地獄流しにした。その代償として、
地獄紋の刻印を受けた。それで、二十一話以降、OPクレジットの名前が変更になったのに違いない・・。
第二十三話「病棟の光」
ナース加奈子(CV;沢城みゆき)がターゲット。依頼者は精神異常者っぽく‥、マジに不条理でやるせない‥ストレスがたまる展開であったー。
不本意な依頼遂行の為か・・あいの地獄流しの口上も、いつもとは口調が若干異なっていた(心底いやだったら依頼を拒否するとかは
できないのか…)。
途中、具合の悪いつぐみを加奈子が熱心に看病するシーン。あのシーンの原画はすこぶる上手く感じた。どなたが原画担当か
できれれば知りたいなぁ。
今までの復讐を是とするような展開とは真逆なストーリー展開。悩めるつぐみの前に、ついに閻魔あいが対峙する。
で、次回はなんと!エスパーわたなべが絵コンテを…。無茶苦茶楽しみである。気合い入れて観ようっと。
第二十四話「夕暮れの里」
脚本:金巻兼一 絵コンテ:わたなべひろし 演出:筑紫大介 作画監督:服部憲知・森下昇吾
第二十五話「地獄少女」
脚本:金巻兼一 絵コンテ:大森貴弘 演出:小阪春女 作画監督:清水貴子・笠原 彰
ついに地獄少女誕生秘話が語らえる時がきた。柴田親子(柴田仙太郎)とあいの因縁も明らかに・・。四百年前の惨劇。
特異な能力を持つ者(あい)を忌み嫌う村人達、村八分、生け贄、集団リンチ、生き埋め、焼き討ち・・背筋も凍るような残酷・
醜悪なストーリー展開。 ああっ、そうだったのか。恨み・復讐の原点・根っ子はここにあったのか…深夜枠とはいえ、
TVアニメでここまでリアルな描写をするとは‥凄すぎじゃ。 「この恨み晴らさでおくべきか~」なんて懐かしいフレーズを思い出したりもした。
演出・作画もかなり良さげだった~。 冒頭に前回のエスパーわたなべ氏のコンテによる‥劇場版クラスの アニメの画面を彷彿とさせる
ダイナミックなアクション・シーン、恨みの念にとらわれたあいの初めてみせる 感情を露わにした‥醜悪な表情を挿入。 あいの攻撃で、
滝壺に転落した柴田親子が垣間見る・・昔の情景・愚かで無慈悲で‥恐ろしくも不条理な因縁のドラマ。思わずエキサイトしながら
画面に見入っていた小生。
シリーズ構成金巻兼一さんのシナリオによる‥「地獄少女」ラスト3連作。ついに次回は最終回・・さていかなる結末が満ち受けているのか。
あいと仙太郎(一ちゃん)の因縁に決着がつくのか。 最期に地獄送りとなるのは誰なのか・・興味は尽きない。しかも、次回の
作監は岡真理子さん。作画がトップクラスに良いであろうことは、言うまでも無かろう。
第二十六話(最終話)「かりぬい」
脚本:金巻兼一 絵コンテ:小島正士 演出:大森貴弘 作画監督:岡真里子
う~む、「地獄少女」が終わってしまった~。 微妙なラストの展開。 積極的に復讐をすすめるあい。 柴田親子の絆。
四百年前、神へのいけにえと称して、あい一家を残酷に葬った村を、復讐の炎で焼き払ったように・・・、 今度は、
寺を灰燼に帰した あい。哀れなるかなご住職。罪の一種のみそぎとしての‥復讐代行家業「地獄少女」。
リセットするようにして、再び地獄少女としての活動を始める あい。
あの蜘蛛は・・? おばあちゃんって・・?
ある程度の説明はなされたようであるが、 一部の謎は謎としてそれなりに残ったままか・・。
そして、復讐劇はまだまだ続くのか・・。
「相当に厳しいスケジュールの中にあって‥、 本当に面白い作品を半年間観せていただき・・ どうもありがとうございました。」 と、アニメ制作スタッフの皆さんには心から伝えたいと思うのであった。
な~んて思ってたら、なんですと~、第2期(二籠)制作が決定!
次作は、もう少し余裕のあるスケジュールで、 更にクオリティの高いアニメーションに 仕上げて欲しいものであるなぁ。
新キャラも登場して、 ともあれ、どんな展開になるのか・・楽しみじゃて。 (了)
地獄少女
メインスタッフ
原案:わたなべひろし
原作:地獄少女プロジェクト
監督:大森貴弘
シリーズ構成:金巻兼一
キャラクターデザイン:岡真里子
美術監督:菱沼由典
音楽:高梨康治、水谷広実
アニメーション制作:スタジオディーン
制作:スカパー! ウェルシンク・アニプレックス
メインキャスト
閻魔あい…能登麻美子
一目連……松風雅也
骨女………本田貴子
輪入道……菅生隆之
柴田一………うえだゆうじ
柴田つぐみ……水樹奈々
オープニングアニメーション
絵コンテ:大森貴宏 演出:外崎春雄
作画監督:岡真里子
原画:相澤昌弘、木野下澄江、松島晃、
橋本英樹、門之園恵美、小谷杏子、
木村友美、江森真理子、石川洋一、
森本浩文、清水貴子
エンディングアニメーション
絵コンテ・演出・作画監督:岡真里子
原画:辻美也子、吾郷絵美、岡真里子
放映
■毎日放送 土曜25:55
■東京MXテレビ 土曜17:00
■キッズステーション 火曜24:00?
(リピート放送 火曜28:30/日曜25:30)
■アニマックス 金曜18:30?
(リピート放送 日曜17:30/翌日曜5:00/
月曜7:30)
連載
■月刊「なかよし」